Brother TD-4520TNをRaspberry Piで利用

Raspberry Pi

ラベルプリンタを製造現場で利用したいという要望に対応するべく、Brother TD-4520TNの調査をしてみたのでそのログです。結果は良好、カンタンに利用可能です。ただし、初期設定はWindows等ブラザーにて提供しているツールが利用可能な環境になるのでその点は注意です。

お客様の要望にてTD-4Tシリーズを調査したのは、耐光性ラベルが10年間の保証と謳っていることにありました。エンドユーザたっての希望と言うこともあってこちらの製品を選択したまでは良いのですが、既存の生産システム環境下(Raspberry Pi)で利用させたいと言うこともあって、その部分の調査が必要になりました。
提供ドライバがLinux CPUSとなっていたので接続問題ないと思っていたのですが…この部分の認識が甘かったです。

TD-4520/4220シリーズ

CUPSはWindowsと同じようにメーカ提供のプリントプロセッサ(=Filterプログラム)にて、PostScript部分をラスタライズできるため、プリンタの種類を問わず印刷ができる様になっています。今回のラベルプリンタのドライバは、Linux x86向けのバイナリで提供されているため、Raspberry Pi(ARM)にはそのままではインストールできません。というか、ドライバをインストールするとハマります。

TD-4Xシリーズのプリンタ機能

このプリンタ、PDL(FBPL)が非常に良く出来ていて、ぶっちゃけぼほ”BASIC”です。要するに印刷データをプログラム化して送信して印刷できます。さらに、「INPUT$」命令(!?)にて、プログラムの後にデータを送るとその部分を取り込んで動きます。まさにプログラム! もちろん、本体内のFLASHに書き込んで都度読み出すことも出来ます。複数記録して個別に読み出すことも、AUTO RUNとして起動時に自動実行させることも! とにかくよく考えられている!!

一般的なプリンタは印刷データをPC(ホスト)側で作成してプリンタ専用言語に変換して送信します。
このラベルプリンタはあらかじめプログラムを本体に登録し、ホストから可変データ部(バーコードの数字)を送ると印刷。

この多彩なコントロール方法にて、既存のシーケンサーに接続して置き換えたり、ホストからのデータはそのままで、新たにラベルレイアウトを作成したり等、多彩な利用方法があるのがこのプリンタになります。プリンタ開発に携わってきた身としては目から鱗が…。

ここまで書いてお気づきの通り、ドライバ未提供のRaspberry Piで利用する場合は、あらかじめ印刷したいデータの設計をプログラム化して本体に記録。Raspberry Piからはプログラム読み出し+データをLPとして送れば良いと言うことになります。なので、ラベルプリンタ自体は「RAWプリンタ」してRaspberry Piに接続すれば良いのです!

便利なのはUSB本体接続するときちんとプリンタとしてPi OS(Debian)は認識するので、プリンタ設定画面でRAWをフィルターとして設定するだけ。とてもカンタン!
逆にメーカ提供ドライバが邪魔になるのです!Raspberry Piにはインストールはしないこと!
基本弾かれますが–forceで強制インストールできるし!←ハマった口

プリンタ登録方法

Raspberry Piデスクトップから、プリンタ設定を選択

印刷設定ウインドウにて【+Add】をクリック

プリンタ追加ダイアログが表示。
ここで、USBケーブルででTD−4520を接続すると【デバイス】の下にリスト表示されます。クリックして選択し、下部の【Forward】をクリック。なお、このダイアログは7インチモニタ(1200×600)だと小さすぎて使いにくいので、タイトルバーを一番上にドラッグしています。

ドライバーの検索ダイアログが表示。
しばらく待つか、キャンセルしても良いです。

ドライバーが見つからないので、ドライバー選択画面に。
ここでは、【Generic(推奨)】を選択して、【Forward】をクリック。

Filterの選択画面で、【RAW Queue】を選択して【Forward】をクリック。
【Text-Only(推奨)】だと改行コードなどの特殊コードが無効化されてしまうと思うので、RAWが良いと思います。(Windowsのプリンタドライバの場合の基本動作)

最後に、プリンタ情報の設定。
プリンター名がコマンドラインでの引数に利用できるので、認識(タイプ)しやすい名称にしておくと良いです。入力終わったら【Apply】で完了。実にカンタン。

この後は、テキストデータやパイプでlpコマンドでデータを送信するだけでラベル印刷が出来ます。
キューを開いておくとデータが入ってくるのが分かります。

DEMOというプログラム名で登録しているので、DEMOを1行目、2行目にデータ文字列が入ったテキストデータを送っています

ということで、カンタンにラベルプリンタをRaspberry Piに接続できます。
メーカ推奨ではないというのは、あくまでプリンタドライバを利用した場合の事ですね。

BPM(Brother Printer Management Tools)

FBPLの確認やプリンタの初期設定は、WindowsなどでBrother Printer Management Toolを使って確認してください。ちなみに、RTC(タイマークロック)の設定もこのツールで設定できます。FBPLではプリンタ内部の時刻データなども使えるようですね。
BPMっていうと、Business Processing Managementの事ですよねぇ…最初戸惑った。

Brother Printer Management Tools(BPM)の参考画面 RTC設定画面

プリンタステータスの確認方法 CommTool

USBやRS-232Cの接続の場合は、プリンタステータスを取得可能なようです。FBPLのマニュアルには画面が載っているのですが、Windowsドライバの部分を見ていなかったので見つけられなかった…
CommToolはこちら

ドキュメント類

Brotherサポートサイトにドキュメント一式があります。

  • ユーザーズガイド
  • Brother Printer Management Tool クイックスタートガイド
  • FBPLコマンドリファレンス

は最低限目を通しておくと良いでしょう。

とにかく、FBPLはむかーしのプリンタ言語を知っている人ほど度肝抜かれます。

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